ピアキャスト動画倉庫

動画配信界の限界集落、PeerCastのニュースサイト

【その他】ドラゴンクエスト10のゲーム動画配信の禁止を期に、ゲーム実況・配信の今について少し考えてみた。

先日スクウェアエニックスから発売された、人気RPGゲームドラゴンクエストの新作、ドラゴンクエスト10目覚めし五つの種族 オンラインの動画配信の是非について、いくつかの掲示板で論争が起きているようだ。

5d1

公式ホームページでは、よくある質問に対して上のような回答を行っている。ここに以下の一文がある。


ゲーム内の映像や音楽の公開・配信は、いかなる形でも禁止です。

つまり、今現在PeerCastやニコニコ生放送で行われている動画配信についても、厳密に言えば全てが禁止行為に抵触していると言える。

そこで、この禁止行為に対する反応を、少しまとめてみた。

 



まずは、当サイトのホームグラウンドとも言えるピアキャスト界隈での反応から見ていこう。

勿論ピアキャストでも、発売日から配信者がこぞってプレイを行っている。今現在確認したところでも、合計10以上のチャンネルでドラクエ10がプレイされている。

5d2

そんなピアキャストでの考え方は、基本的に全て自己責任、ということに尽きるだろう。上図にピアキャストの配信データの流れを描いて見たが、図中の赤い矢印が実際のデータ送受信路である。

ピアキャストの通信手段は、YPにチャンネル情報を経由させているハイブリッド型p2pだが、pcyp他外部ツールが発展しているため、実際の運用はピュアp2pのような配信者と視聴者同士で通信する状態に極めて近い。動画の実データに至っては、完全に対等通信状態である。

こういった場合、例えば著作権を侵害していたとすると、動画データを配信していた配信者自身の問題であるため、全ての責任は動画配信者にあると考えるのが自然である。

5a3

また、ピアキャストでは実際過去に映画を著作権者に無断で配信したとして逮捕された人物が存在する。この事件の際、逮捕されたのは配信者のみである。

伝え聞くところによると、YP管理人も任意で事情を聞かれたそうだ。しかし、実際のデータの流れは配信者と視聴者の間にしか存在せず、著作権法違反幇助にあたるかどうかが微妙だというところだろうか。

(著作権法違反幇助・・・Winny開発者の逮捕理由で有名になったやつです。少し古いですがここがわかりやすいかも)

いずれにせよ、PeerCastでは過去に逮捕者も出ている事例があるため、やるなら配信者の責任のもとで、勝手にやれという風潮になっていることは否めない。

これら著作権侵害に対するYP管理者側の対策としては、各ゲームメーカー等から配信禁止タイトル・ブランド等を受付しており、これらに申請することで当該YPではそれらの作品の配信は禁止される。

5d33

YPには上記のような警告文があり、仮に配信禁止タイトルを配信した場合、YP側から著作権者側に接続者情報が提供され、著作権侵害案件として個別に対応されるであろうことが予測される。

ただ、これらYPに対する配信禁止要請等はスクエニ側から届いておらずスクエニが配信者に対して強硬な手段を取ろうとしているようには現時点では思えない

つまり現時点でピアキャストにおいては、ドラクエ10のゲーム配信を止めさせる手段は、スクエニを動かす以外ないということだ。そして実際に通報をしても効果がないということであれば、スクエニ側が諸々の事情を勘案して、動画配信を黙認してくれていると考えるのが妥当ではないか。

5a9

次に、なんでも実況(なん実)の場合を取り上げてみたい。
なん実での動画配信は大抵の場合、配信者が自身のIPとポートをスレに公開して、視聴者がメディアプレーヤー等で視聴している。

5d4
上図の通り、まさに配信者と視聴者が直接繋がっている状態で、著作権を侵害した場合には、PeerCastと同様に配信者が罪に問われることは間違いないだろう。

なん実がPeerCastと違う点2chの実況板を使用している点だ。配信者は自分の配信URLを告知するために、2chにレスをしなければならない。

2chに対する開示請求が多くなされ、接続元が実際に開示される事例が多くなっている昨今、違法データを配信する者の数は全盛期と比べ減少傾向にある。また、配信URL自体が配信者の接続情報であるため、特定は容易いだろう。

スクエニが2chに対して接続者開示請求を行ったという事例は今のところ聞いたことがないが、もし仮にスクエニが本気になった場合一番御しやすいのは特定のしやすさとログという証拠の存在から考えて、なん実配信者なのではなかろうか。

5a10

そしておそらく、一番ドラクエ10配信者が多いと思われるニコニコ生放送。現在ざっと数えて30ch以上の配信があるようだ。

5b6

ニコニコ生放送は他配信媒体とは明らかに違う点がある。動画データ自体がニコニコ生放送を一度中継し、リスナーへ届いているのだ。つまり問題のある配信データが配信者側から送信された場合、ニコニコ生放送側でそれに対処しなければならない。

こういった中継動画配信の形を取るストリーミングサイトとしては、fc2ライブチャット、Ustream、Twitcasting等が存在する。


ニコニコ生放送規約に違反するストリーミングが行われた場合、運営は配信者のアカウントを停止処分として、違法な配信を防いでいる。ただ、ニコニコ生放送においてはゲーム実況というジャンルが最初から用意されている等、グレーゾーンでのゲーム配信については黙認しているという節が見られる。

5d5

ニコニコ生放送においても、一部のユーザーがドラクエ10配信者に対して警告を発したり、スクエニに対して通報を行ったりしているようだが、ドラクエ10規約違反でBANをされたニコニコ生放送規約違反でアカウント停止となった、というような声は聞かれない

これに憤慨した者が、放送者への嫌がらせとして放送タグを荒らしたり、ニコニコ市場に画像のようなものを登録する等活動を行っているようだ。

これらのことをまず踏まえて、次のことを考えてみたい。

 

・動画配信を表向き禁止する理由

動画配信サイトでの配信を、ゲームメーカーが禁止する表向きの理由は「著作権の侵害にあたる」からだ。ただ、本音はどうなのだろうか。

まず、全てのメーカー、全てのゲームにおいて動画配信を禁止しているということではなく、それぞれ対応がまちまちであるということを明確にしておきたい。

例として、まずはとある成人向けアドベンチャーゲームの事例を挙げてみたい。

1年ほど前、Aileというゲームメーカーが発売した新作ゲームを、ニコニコ動画にプレイ動画としてアップロードしたユーザがいました。
ここでAileの代表がユーザに激怒し訴訟沙汰になり、最終的にユーザがAile側に和解金を支払う事になりました。

ITMEDIA:Aileはなぜプレイ動画に「激怒」したのか?

この事例では、問題となったゲームは所謂ビジュアルノベル・アドベンチャーゲームと分類されるものであった。プレイヤーは基本的に選択肢をクリックして物語を進めていくゲームであり、ゲームを進めていく過程に楽しみがあるとされる。

5d6

こういったゲームにおいて、プレイ動画をアップロードされてしまうと、動画を見ただけで視聴者が実際にゲームをしたかのように錯覚してしまい満足してしまう恐れが高い。

動画配信にはゲームの購入を促進させる、プロモーション効果があるという説もあるが、ことアドベンチャーゲームに至っては、動画で見たゲーム内容が気にいってゲームを購入しようという人よりもストーリーを楽しんで満足したので別のゲームを買おうとする人の方が多いのではないだろうか。

動画によるネタバレ・ストーリーバレによって購買層をみすみす逃してしまう恐れもあるということで、このゲーム会社の代表が怒り狂うのももっともなことだろうと個人的には思う。

対して、カプコンが発売しているSUPER STREET FIGHTER IV(スパ4・スパ4AE)を例にとってみてみよう。

ニコニコ動画で実況プレイ動画を投稿しているせんとすというユーザが存在するが、彼はカプコンの本社に招待され、ニコニコ生放送を行った事がある。その席上でスパ4AEアシスタントプロデューサーの野氏から今後も配信を続けてください、と激励を受けるなどほぼ公認とみられる発言を頂いた

また前作の
ストリートファイターIII サードストライクではリプレイ動画をYoutubeに投稿する機能が搭載されていた。

先ほど例として示したAileの件と確定的に違うことは、これらのゲームがアクション・格闘ゲームであり、ストーリーがゲームのメインファクターではなくゲームプレイヤーの技術を競うゲームであることだ。

相手と競いあう事がメインのゲームにおいて、動画がアップロードされることで失われるものは非常に少ないといえる。例えプレイ動画がアップロードされたところで、こういったゲームは自らプレイしないことには本当の楽しみは得られないだろう。

5a11

また、格闘ゲーム界隈ではウメハラを初めとしたスーパープレイヤーによる対戦動画が公になることが、この界隈全体が盛り上がる要因ともなっている。良試合・良動画が公になり話題になることが一種の宣伝となり、かつお互いに損をしない状態なのだろう。

さて、今回問題となっているスクエニの話題に戻ってみよう。
2008年スクエニ定時株主総会レポートから一部を抜粋するが、この年にゲームの動画配信、実況プレイについて言及されている部分が存在する。

5d7

これによると、やはり表向き著作権法違反については問題視をしているようだ。お二人の発言を見る限り、ゲームのネタバレを含むものについては強硬な対応を取る、というようだ。ゲームの核心部分が不特定多数に動画で公開されることにより、ゲームの売り上げが落ちることを恐れているのだ。

ただ頭ごなしに全てを否定している訳ではなく、これからの対応を考えて行きたいということだ。これはここ近年、ネットでの動画配信手段が増え急速に人口が増加した結果、メーカー側の対応が追いついていない、よって対応を決めかねているように思う。


・どこまでがグレーゾーンなのか?

まず、ゲーム配信を許諾しているゲームメーカー、タイトルについては何の問題もないだろう。

そうではないゲームの場合、まず売り上げに直結するであろう最新ゲームは危険である。特にアドベンチャーゲーム等ストーリーが重要なものであったり、そうでなくてもネタバレ動画については控えるべきだろう。

また、自分の好き嫌いによって特定のメーカーやゲーム自体の評判を貶める目的の動画をアップロードすることは非常に問題であり、このような行為は、いつ法務部からお手紙が来てもおかしくない。

また、一部成人向けゲームメーカーについては、Aileの件もあり配信行為を良くは思っていない方が多いだろう。実際ピアキャストでも各YPに対して、配信禁止リスト等が通達されている。これらメーカーのゲームは配信を避けるべきだろう。

対して、発売されてから大分時間の経ったゲームについては建前上は配信禁止なのだが、そのソフトの多くは既に出荷を停止したりしている等売り上げには直結しない事が多いので、実際のところはメーカー側からお目こぼしを頂いている場合も多いように思う

5a13

稀な例として、配信で人気に火がつき、口コミで販売本数を増やしていったゲームとしては、ピアキャストでも未だに人気を誇る風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参等だろうか。こういった例もあるということは確かである

(このゲームに関しては、とあるピアキャス配信者が開発元に配信の許諾を取ったという逸話も。)

・結局ドラクエ10についてはどうなの?

配信を公認すると、スクエニ全体がそういう風潮に見られる可能性がある。スクエニとしては大作RPGを多く抱える以上、そういったゲームでストーリーをネタバレされるのは困る。だから、スクエニ側からは積極的な規制を行わないスクエニからのお願い、という形でドラクエ10の配信を禁止するという手段をとったのではないか。

スクエニさんが公式にダメと言っている以上ダメでしょう。だがしかし、著作権の侵害については被害を受けたメーカー側が被害を届け出なければ罪に問う事はできない。

視聴者側が過剰な通報に走ることは、スクエニ側の態度を硬化させる恐れがあり今後のゲームにも影響を与える可能性があるし、苦情を受け付ける部署が通報によって余計な処理をしなければいけないという点で、なるべく控えるべきだと考える。

この問題はあくまでスクエニ側が判断することであって、外野が行動することは何もないだろう。

配信者側は逆に、自らが行っている行動が法に触れる行為だということを理解した上で、スクエニ側からいついかなる時に強硬なアプローチに出られても後悔しない覚悟が必要だろう。

今各動画配信サイトでゲーム実況というジャンルが成り立っているのはメーカー側のお目こぼしが存在するからであって、その行為を勘違いした者が、メーカー側の機嫌を損ねることを行うのは言語道断だろう。ゲーム動画投稿者や配信者はそのことを胸にとどめておかなければならないだろう。

個人的には、ニコニコ生放送・動画がJASRAC管轄楽曲の使用許可を得たように、各ゲームメーカーから使用許諾を得られないのだろうかと思う。

ニコニコ生放送・動画内についてのみ配信が可能であるという状況であれば、運営側の規制によってある程度治安を維持できる。ニコニコ動画等でゲームの宣伝や広告を打ったりすることで、メーカにとってはニコニコ動画ユーザに対するコマーシャルとなり、ニコニコ動画にとっては新たなるユーザの囲い込みに繋がる。お互いプラスになるのではないだろうか。

5a15

と、ここまで書いておいて、任天堂の70期株主総会で、岩田社長が個人的にすばらしいと思う回答を行っていらっしゃったので紹介したい。

5a8

要約すると、この中で岩田社長は次のように発言されている。

社会との中で折り合い」がつき、「知的財産の品格や価値がおとしめられない表現かどうか」をひとつの判断事情として、個別具体的に考えていくとしています

これをゲーム配信の場合に当てはめて考えてみると、社会的に見て問題のあるものでなくゲームやメーカー、キャラ等の品格や価値を貶める目的でアップロードしていない動画、であれば、もしかしたらお目こぼしをして頂けるかもしれませんね。

例えば過去にピカチュウのあられもない姿を描いた同人誌を製作・販売した人物が、著作権法違反で逮捕されましたね。これは岩田社長の語るところによる、キャラ等の品格や価値を貶める目的で知的財産権を侵害したという例でしょう。

5a18

今のゲーム実況界隈が今後も存続していくためには、メーカー側とユーザー側の力関係のバランスが大事なのではないでしょうか。

ユーザ側としては、ゲームやキャラを貶めるような行為はしない。新作についてはネタバレを控える等。メーカー側の行為やお目こぼしによってゲーム実況が成り立っていること。

メーカー側としては、悪意をもった者等一部の例を除いてなるべく強硬な手段にはでない。頭ごなしに配信を否定して反発を招かない等。

ニコニコ生放送等でゲーム実況というジャンルが盛況な今、配信者側が勘違いをして非常識な行動や、社会的に逸脱した行為をしてしまっては、メーカー側の強硬手段を引き起こしかねません。そうなってしまっては、もはやゲーム実況という行為自体が完全に死滅してしまいます

17a5

ましてや今話題になっているあの人のように、ポケットモンスター等のゲームを、非公式アプリケーションであるエミュレーターを使って配信するなど、もってのほかです。

問題を起こしてからでは遅いのです。

今回のドラクエ10配信禁止騒動を期に、少しゲーム実況について考え直して見ませんか。

minitoumeiiconクリエイター、メーカー、生み出されたキャラ・ゲーム等、常に敬意を忘れずにいたいものです。

 

コメント欄

  • Comments ( 16 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. 言いたいことはわかるけど長い

  2. By 名無しのリスナー

    一番危ないと思われているものが全く処罰を受けていない。なん実Vは違法配信やりたいほうだい。過疎だけど

  3. ゲーム配信はあくまでグレーゾーン、メーカーによって対応は異なると
    結局そこに尽きるんだよな。実機だからOKとかエミュだからNGとか
    関係無い

  4. いい記事だわ

  5. By 名無しのリスナー

    どうでもいいことだけど
    アスカ見参は開発と販売が違って両者の折合いが悪い。
    そのせいで長いこと再販されていないから、配信のおかげで販売本数が増えたという事実もないよ。

  6. By 名無しのリスナー

    せやな

  7. やすくんみたいな論文ありがとう

  8. 割れたみんの件は詳しく知らんけど、任天堂に喧嘩売ってもいい事なんてないよな。

  9. マジで長い

  10. By 名無しのリスナー

    アスカ配信は割れの奴しかいねーだろ

  11. By 名無しのリスナー

    完全なる黒なのにグレーゾーンとか言ってる奴は本当に頭おかしい

  12. >ドラクエ10規約違反でBANをされた、ニコニコ生放送規約違反でアカウント停止となった、というような声は聞かれない。
    ニコ生でDQ10配信がBANされたスクショが貼られてたことがあったけど
    どうなのかねアレ

  13. >>12
    あの画像ってコラじゃなかったの?

  14. いかなる形でも許可しませんってスクエニが言ってるんだからダメに決まってるだろ

  15. ドラクエⅩ配信してるやつを通報して回るわー。
    名前からIDまでバレるからIDBANされたらもうゲーム出来ないのかな?持ってないから知らないけども。

  16. 禁止なのに馬鹿な理屈でゴッズガーデンでさえ
    ゴッズに迷惑が掛からないならokとリスナーにドラクエ配信を推奨してるからな><

コメント投稿はこちら

*

Return Top